虫・草・魚、何でも食べるYoutuber「ホモサピ」って何者!?
人気ユーチューバー「ホモサピさん」のご紹介。
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昆虫食に乏しい私たち日本人が、虫を食べるなんて気持ち悪いと思ってしまうことは仕方のないことです。
例えば、日本の発酵食品の代表格である納豆は、私たちにとって馴染み深い食材ですが、海外の方にとっては気持ち悪いものに見えてしまうそうです。このことを心理学の世界では食物新奇性恐怖(しょくもつしんきせいきょうふ)と呼び、雑食性の人間が初めて口にするものを警戒するために備わっている機能だと考えられています。日本人が何の抵抗もなく納豆を食べることができるのは、幼い頃から周囲が納豆を食べる環境で育ってきたからでしょう。
これと同じように、昆虫を食べ物として認識してこなかった日本人が昆虫に対して食物新奇性恐怖を抱くのは当然のことですし、その認識は簡単に変えられるようなものではありません。昆虫が食べ物ではないと認識してしまう理由には、次のようなものがあります。
虫を食材として見ることができない最大の理由は、その見た目にあるのだと思います。頭から生えた長い触覚、独特の色や模様、数が多くて長い脚…こうした特徴を持つ食材がお皿に盛られていると、どうしても抵抗を感じてしまうものです。しかし、私たちが普段から口にしている食材の中にも、実は同じような特徴を持つものがあります。
それは、昆虫と同じ節足動物と呼ばれるグループに属する甲殻類です。
(↑エビ:長い触覚と、複数の脚が伸びている。体は硬い外骨格に覆われていて、胴体は特徴的な縞模様。)
(↑シャコ:長い触覚と、頭胸節・胸節・腹節から複数の脚が伸びている。硬い外骨格を持ち、種類によって色や模様も違う)
どちらも昆虫に嫌悪感を抱く外見的な特徴を持っているにも関わらず、日本で古くから食べられてきた食材です。とくにエビは、お正月に食べる”おせち料理”の中に必ずと言っていいほど入っていますが、それを見て大騒ぎするような人はいないかと思います。虫を平気で食べられる人も、それと同じ感覚で食材として虫を見ているのです。
草木の少ない都会で見かける虫といえば、ゴキブリやハエなど不衛生な場所に住み着くものばかり。食事中にそれらの昆虫の名前を出すことはタブーとされ、飲食店では「〇番」などの隠語が使われることもあります。そんな環境で生活していると、虫に対して不衛生なイメージを持ってしまうのは仕方がありません。ですが、ご安心ください。ゴキブリやハエなど細菌を媒介している可能性のある虫が、そのまま食用として流通するようなことはまずありません。
例えば、私たちが普段口にしている肉は、衛生的な環境で育った牛や豚、鶏の肉ですよね。同じ肉でも、野生のネズミが食用として流通することはないはずです。これと同じように、昆虫食の世界でも食べられる虫、食べてはいけない虫を見分けて、食用とするための適切な処理が行われた虫が流通しているのです。
また、昆虫食の製造工場は、医薬品に使用されている品質管理基準のGMPや、宇宙食の安全性を確保するために開発された衛生管理方式のHACCP、欧州で使われている商品の衛生基準BRCを採用しているところも多く、品質と安全性のレベルは高く保たれています。
百万種類を超える昆虫の中には、毒を持つものも存在します。その中でも有名なのは、大きな毒針を持つサソリや、毒蜘蛛と呼ばれるタランチュラでしょう。彼らはファンタジーの世界でも危険な生き物として恐れられている存在です。
けれど、実は致命的な毒を持つサソリは全体の2%程度。タランチュラには、人が命を落とすほどの強い毒はありません。さらに、彼らの毒は加熱処理によって無害化できるので、海外のマーケットでは当たり前のように並んでいます。
私たちが日本で食べている食材の中もフグやオコゼ、カサゴなど毒を持った生き物を食べているわけですから、そうした食材も正しい知識を持って調理すれば食べられることは知っているはずです。それと同じように虫にも食べられるもの、食べられないもの、食べられるけど適切な下処理が必要ものがあって、もちろん市場には適切に下処理したものが出回っています。
虫自体の毒性とは少し異なりますが、先述したように昆虫は甲殻類に近い生物なので、甲殻類アレルギーを持っている方にはあまりオススメできません。また、昆虫によっては食べたことのない味や匂い、舌触りを感じることがあります。そうした感覚を「食べてはいけないものだ」と捉えてしまい、突然気分が悪くなることもありますので、初めて虫を食べる時は少しずつ口に含むようにすることが大切です。
ここまで昆虫食に対するネガティブなイメージついて解説してきましたが、今度はどうして虫を食べる人がいるのか、昆虫食の魅力についてお伝えしていこうかと思います。
昆虫の小さな体の中には、人間が生きていくために必要な栄養素がたっぷりと詰まっています。昆虫の栄養価を他の食材と比較してみましょう。
名称 | エネルギー | 蛋白質 | 脂質 | 炭水化物 |
---|---|---|---|---|
イエコオロギ(粉末) | 444kcal | 69.6g | 14.9g | 7.9g |
牛バラ肉 | 371kcal | 14.4g | 32.9g | 0.2g |
豚バラ肉 | 386kcal | 14.2g | 34.6g | 0.1g |
鶏もも肉 | 200kcal | 16.2g | 14g | 0g |
上記のコオロギパウダーは脱水しているので乾物重量となりますが、私たちが普段口にしているタンパク源の牛・豚・鶏に比べても、引けを取らない栄養価があることが分かるかと思います。また、コオロギには魚や植物油に含まれていることが多い不飽和脂肪酸や、動物性食物繊維のキチンを含みますので、1日に必要な栄養価の大部分を補うことができます。
牛や豚、鶏を育てるには、広いスペースと大量の餌を必要としますが、昆虫の場合は、僅かなスペースと少量の餌だけで数を増やすことができます。例えば、先ほど登場したイエコオロギは1~2cmと小柄なのでスペースを圧迫しない上に、米やパン、果物の皮や屑野菜などの非可食部位も食べてくれるので、家庭で飼育したものを食べている方も少なくはありません。
家畜として飼われている牛や羊は、複数の胃を持つ反すう動物です。彼らは飲み込んだものを口に戻して再び咀嚼するという、一風変わった方法で食べ物を消化していきます。この消化が行われる過程で温室効果のあるメタンガスが発生するのですが、昆虫の場合はそのメタンガスがほとんど発生しません。
少し古いデータですが、家畜から排出されるメタンガスは2015年の時点で全体の24%といわれていて、もし昆虫食が肉に代わる食材として確立されれば、メタンガスの排出量は最大で3/4まで減らせると考えられています。
栄養価の高さ、生産コストの低さ、環境に優しいというメリットは、昆虫食が注目される理由としてはポピュラーなものですが、シンプルに「食材としての美味しさ」だったり、「未知なる食材との出会い」を楽しめるのも魅力の1つです。bugoomの商品で例えますと、定番のイエコオロギは小ぶりながらもしっかりとした旨味があって、ゾウムシの幼虫であるサゴワームはほのかに甘いです。竹を食べて育つバンブーワームは筍のような香りがしますし、スーパーワームはソースのような香ばしさがあって食欲をそそります。こうした魅力を知っていくにつれて、昆虫食の深みにだんだんとハマっていくのです。
私たち日本人は昆虫食に食物新奇性恐怖を抱いてしまうものですし、昆虫以外から必要な栄養素を十分に摂取できるので、無理をしてまで虫を食べる必要は全くありません。ただ、私たちが口にすることができる食材の1つとして、虫という選択肢があるということを頭の片隅に置いておいてもらえると嬉しいです。
もしこの記事を読んで昆虫食に興味が湧いてきたという方は、bugoomをはじめ昆虫食を取り扱ってるメーカーさん・販売店さんで簡単に手に入りますので、この機会に初めての昆虫食に挑戦していただけると、なお嬉しく思います。
関 幸祐(せき こうすけ)
bugoom online shopの運営者・bugoom大名1号店のストアマネージャー。栄養価や安全性にこだわった世界各地の食べられる虫を集めて販売中。